moe.ninnjinnlove
Aug 12
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38年間、準備を続ける。
影が映す微かな光を探して。
[Movie note]
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Morc 阿佐ヶ谷
@morc.asagaya
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ロシアを代表するアニメーション作家
ユーリー・ノルシュテイン。
38年間、制作を続けているという
映画『外套』の背景に迫るべく
5年前に彼のスタジオ「アルテ」で取材撮影された
映画「ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる」。
上映後、ロシアにいるノルシュテイン氏と
中継で繋ぎ、Morc阿佐ヶ谷館内で対談が行われた。
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38年間、なぜ映画は完成しないのか。
今、ロシアはどのような状況なのか。
館内の張り詰めた空気と限られた時間
語られた言葉の備忘録として。
下記はノルシュテイン氏の言葉より。
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「ーー38年間、映画をつくるための
「準備」はずっと続けているんだ。
もしかしたらだいぶ前に発見されたことを、
私の意識が再び発見しようとしているのかもしれない。
毎日、原作にあたるゴーゴリの小説
『外套』について調べ、考え続けている。
けれど、どうしても「撮影(制作)」に踏み込めない。
周りのさまざまな環境が、それをさせてくれないんだ。
いま起きていること(戦争)は悲劇でしかない。
(ロシアと日本とで共有されている情報には大きな違いがあるから、具体的な説明は割愛。彼の実感として)
ソ連時代からロシアは何も変わっていないと感じる。
富は一部の人に牛耳られ、
国全体で貧しい状況は続いている。
いま仕事ができる、という状況は
あたりまえではなくなっている。
生きることに、みんな必死だ。
どうしたらもっと人が楽に生きられるようになるのか。
ずっと考え続けているし、本質的なこと、
人だけではなく植物や動物や、大いなる自然と
共に生きることとはどういうことなのか。
それを『外套』で描きたい。
映画のエピグラフとして考えているマタイの福音書に
“富あるところに心あり”という一節があるが
これは本質を言い当てていると感じる。
恐ろしいのは、「無関心」でいることだ。
異なる存在への興味をなくし
自分の世界、価値観だけに没頭すれば
いずれ「社会」は形をなさなくなるだろう。
わかり合うことが政治にできないのなら
文化や芸術の力でそれを乗り越えたい」
(ーーユーリ・ノルシュテイン氏の言葉より。
翻訳は同時通訳をしていた児島宏子氏)
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原作にあたるウクライナ出身、ロシアの作家として
知られるゴーゴリの小説『外套』は
帝政ロシア時代のサンクトペテルブルクを舞台に
「清書」という仕事が唯一の生き甲斐だという
貧しく優しい下級役人・アカーキーが描かれる。
長い間着古し、修繕不可能になって新調した
「外套」は彼にとってとても大切な存在だったが
追い剥ぎによって盗まれ、失意のうちに死んでしまう。
そんな、一読したら悲劇でしかない物語を
苦悩しながら描こうとし続けるのはなぜなのか。
彼はゴーゴリの素晴らしい点は
「言葉の可塑性」であると話していた。
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学生時代にノルシュテイン氏の
『霧の中のハリネズミ』の10分の映像をみて
鳥肌が立った感覚を今も覚えている。
繊細すぎるほどに細やかな視点、それでいて
不安や恐怖など負の感情をも軽やかに
包み込んでしまう世界観と、
影の中わずかに照らす光の描写に
グッと引き寄せられた。
光の描写の背景にあるのは、ロシアに住む自分の家の
小さな窓から差し込むわずかな光なのだそうだ。
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ものを生み出す、制作をすることは、
生きることとや心の状態、環境と直結している。
人のために作っているのではなく
生きるために、生きるように、
彼は作品をつくっているのだと思う。
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正直、彼の話はとても重く心に響いた。
けれど一日経った今思うのは
彼は深い闇、影に向き合い描きながら
そこに見出されるわずかな、
光を探しているのかもしれないということ。
そういえばデッサンも、何もない紙の上に
影を描くことで光を
そして姿形を表すのだったと思い出した。
『外套』ができる日を心待ちにしながら
ふと思ったことの記録として。
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映画の公式サイトは下記。
http://making-overcoat.com
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#Юрий Борисович Норштейн
#ユーリーノルシュテイン
#外套
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